入社1ヶ月半で「専門性」を失った私が、毎日笑顔でセカンダリー事業に取り組めている理由

こんにちは! Nstockでセカンダリー事業の事業開発とオペレーションを担当しているJoeです。

業務時間は、セカンダリー事業に必要なライセンス取得にオーナーシップを持つかたわら、夜な夜なシューティングゲームで敵を倒しまくる“攻めの心”を忘れないひとりの青年として、昼夜で二足の草鞋を履いて生きています(笑)

矢吹 豊(やぶき・ゆたか 通称:Joe)
銀行で7年間法人営業をした後、Fintech系スタートアップの創業初期メンバーとしてジョイン。審査企画やオペレーション構築のかたわら、与信判断業務に従事し累計5万件以上の入出金明細を見てきました。 趣味はゲームと映画です。

今回はNstockが取り組む非上場株式を売買するセカンダリーマーケット(=以下「セカンダリー事業」)のアイデアがどのように導き出されたのかを振り返りつつ、その時々に私自身が当事者として何を考え、どのように取り組んできたのかを、みなさんにお伝えしたいと思います。

Nstockへの入社から約1年9ヶ月。目まぐるしく過ぎ去ったこの期間を、私個人として、しっかり振り返る機会がほしかったという思いもあります。

しかし、それ以上に、まだ世の中にない新しいサービス、さらに法令遵守の徹底や堅牢性高く事業を進めることが求められるFintechの領域で「0→1」の事業を開発する経験は、とても貴重だと感じているため、こうして多くの方の目に留めていただけるブログとして、公開することにしました。

Nstockが理想とするセカンダリー事業の実現までは、まだ道半ばの状態ではありますが、私たちの試行錯誤のストーリーがみなさんの参考になればうれしいです!

「世の中にインパクトを残したい」


本題に入る前に、これまでの私のキャリアについて紹介させてください。

新卒では「世の中に大きなインパクトを残せる仕事がしたい」と、三菱UFJ銀行に入行。中小企業から大企業まで、広く法人向けの融資などを中心に担当していました。

7年後、立ち上げ初期のFintechスタートアップのOLTAに転職します。ここでも「中小企業の金融課題を解決することで、日本に大きなインパクトを残したい」と思っていました。

世の中にインパクトを残すこと──。

改めて気が付きましたが、私が最も大切にしている人生の軸はここにあるようですね!

クラウドファクタリングを手掛けるOLTAでは、審査基準の策定・運用、オペレーションの構築など、たくさんの業務に関わることができました。

そして2022年9月、「スタートアップエコシステムの成長こそが、日本を再び元気にできる唯一の手段だ。いま、世の中にもっとも大きなインパクトを残せる場所がNstockだ!」と熱い気持ちで、Nstockへの入社を決めました。

このようにまとめると、常に“自分がやりたいこと”を選択してきたキャリアのようにみえますが、ご安心ください(?)。ここから私の人生は思わぬ方向に進んでいくことになります。

紆余曲折あった1年9ヶ月。しかし、揺るがなかった思い

今回のブログは3つのテーマでお送りします。

  • 入社後1ヶ月で得意領域と「決別」
  • 非上場株式のセカンダリーという「大きな山」の前で
  • 未経験でも「本気なら」どうにかなる

少し長いですが、私たちが真剣に事業に向き合ってきた変遷と、その時々の私の思いを正直にお話ししたいと思います。

入社後1ヶ月で得意領域と「決別」

自己紹介でも触れましたが、私は金融のなかでも、とくに「与信」が重要な領域を軸にキャリアを歩んできました。

前職のOLTAでは、クラウドファクタリングという新しい金融サービスに挑戦し、比較的リスクが高い中小企業の短期与信においてどのようなリスクコントロールをすべきかを考え抜いてきた自負があります。

データを駆使して独自の審査モデルを構築し、その過程で累計5万件以上の入出金明細をチェックするなど、もはや“大量のデータを機械学習した人間”と呼ばれても胸を張れるような貴重な経験を積ませていただきました(笑)

こうして、10年以上、与信に向き合うなかで、ビジネス的な視点と社会意義的な視点、この両者から「スタートアップへの融資」は非常に価値が高く、社会にインパクトを残せる領域だと思うようになり、次第にベンチャーデット*に興味を持ち始めました。

*ベンチャーデットとは、エクイティ(株式)とデット(負債)の両方の性格を持つ金融商品の総称で、転換社債や新株予約権付融資などが含まれます


私は「与信のプロフェッショナルとして生きていく!」心の奥底に灯っていた小さな火がどんどん大きくなってきました。

ちょうどその頃、Nstockが新しい金融事業の立ち上げを進めている、それがなんとベンチャーデットらしい、とOLTAからNstockに転職していた元同僚のtaroさん(セカンダリー事業開発を担当する沼田太朗)から聞き、「もうこれは運命だ!」と、与信の領域に人生を捧げるつもりで、Nstockの面接を受けました。

(余談ですが、うまく喋れる自信がなかったので、宮田さんとの最終面接では紙芝居のように手持ちのスライドを1枚1枚めくりながら思いを伝えたことが、今でも私のキャラクターを示すエピソードのひとつとして言い伝えられています笑)

結果、情熱が伝わり無事内定をいただき、Nstockに入社したのですが、ここから私の人生はまったく想像していなかった展開に……。

ベンチャーデット事業について本格的に検討するなかで、スタートアップにつぎ込むための資金の「調達コスト」が想像以上に重いことがわかりました。

Nstock自身も、2022年に立ち上げたばかりのスタートアップです。ユニコーン企業を育むために投資でホームランを連発をしようと思うと、何度もバッドを振る必要がありますが、自社の企業規模に対してはリスクが高過ぎたのです。

そのため、チームで見直しを図り、結果的に入社してわずか1ヶ月と少しで、自分のバリューが最も発揮できると信じて疑わなかった「法人向け与信」という得意領域から離れざるを得ない状況が訪れます。

経験豊富で優秀なメンバーが多いなか、30代半ばで「与信」のほかになんの実績もないと思っていた私が、新しい領域にイチから挑戦しなければいけない。

チームといっても、当時は3名です。みんなの役に立てるのだろうか。私がここにいる存在価値を出せるのだろうか。焦りを感じました

しかし、とにかく自分にできることをやるしかない。そう割り切って、目の前のことに一つひとつ向き合っていきました。

海外事例を調べたり、ユーザーインタビューを繰り返したりしながら、次の事業の種を探し続ける日々。ただ、この頃のモチベーションは高く、意外とポジティブな状態でした。

たとえ手段は変わっても、私たちの手で「スタートアップエコシステムをブーストさせる」という事業の目的が、ずっとブレることがなかったからだと思います。

非上場株式のセカンダリーという「大きな山」の前で

さて、改めて、セカンダリー事業にたどり着くまでの私たちの紆余曲折の歴史を記しておきたいと思います。

実は、はじめに検討していたのはストックオプション(以下、SO)を付与された、役員や従業員など権利者のみなさんが「行使」する際に必要な資金を融資するサービスでした。

ご存知ない方もいらっしゃると思いますが、SOを現金に変えるためには「行使→売却」のプロセスが必要になります。

SOとは役員や従業員があらかじめ定められた期間および決められた価格で自社株を買える「権利」です。その権利を行使するためには「自社株を購入」する必要があるのですが、そこで一定のお金(行使するSOが多い場合などはけっこうな大金)がかかります。ここにユーザーペインがあるのでは?と考えたのです。

しかし、インタビューなどを通して、ベンチャーデット(!)のほうが有望なアイデアだとなり、ピボットします。

スタートアップにとってエクイティに限らない多様な資金調達手段があるのは望ましいことですが、先ほども触れた通り、創業間もないNstockがその資金の提供者になるのは難しい……ということで、ベンチャーデットのアイデアも見直すことになりました。

こうして何度も振り出しに戻りながら、金融事業を独立した位置付けとして考えるのではなく、株式報酬SaaSを提供するNstockだからこそ実現可能で、互いにシナジーを生み出せるようなあり方の金融サービスとはなにか?を、チーム全員が見据えるようになっていました。

海外サービスの調査やユーザーインタビューも何度も何度も重ねました。

そして、だんだんとSO保有者は金融に関するさまざまな課題や不安に直面するということがわかってきたのです。

SOを保有している人が悩みを抱えていると聞いてもすぐにはピンとこないかもしれませんが、ぜひ想像してみてください。もしある日突然、億を超えるような大金を得ることになったら、喜びとともに、戸惑いも生じることは想像に難くないと思います。

SOを行使・売却し、資産を得た人たちの多くが持つ共通の悩み「資産運用」にフォーカスしたサービスがよいのではないか。そんな方向に議論が進んでいきました。

実は、今思い返すと、この頃が個人的にはもっとも苦しい時期でした。始めは「とりあえずやるしかない!」と、高いモチベーションで臨めていたのですが、徐々に自分のなかに迷いが生まれていたのです。単純に、半年以上に渡って、サービスの方向性を模索している時期が続き、焦りを感じていた影響もあります。

しかし、それ以上に、事業シナジーの出しやすさや、マネタイズのしやすさありきで事業を選んでいるような感覚に陥り、これは「本当に日本経済を復活させるような、社会的インパクトのあるサービスなんだろうか?」と、常に自問自答する日々が続いていました。

そんな時に大きな転機が訪れます。

これまで税制適格SOの流動性を阻害してきた「保管委託要件」が撤廃される方向であるということがわかったのです。

これまでの流れには書いていませんが、過去に検討したけど制度の都合上、すぐに諦めざるを得なかった、「非上場時にSOを行使し売却できるセカンダリー取引」が、もしかしたら実現できる環境になりそうだ?!という流れに。

そこから、改めてセカンダリー事業について調べれば調べるほど「これは絶対に日本のスタートアップエコシステム発展のために必要なサービスだ!」と確信を持つようになっていきました。

私自身、前職で付与されていたSOが退職にともない失効した経験があります。個人としては「そういうものなのだろう……」と納得して(諦めて?)転職しましたが、もしあの時セカンダリーマーケットがあったら全然違ったなと。日本のスタートアップエコシステム全体を俯瞰してみると、SOがうまくインセンティブとして機能していないことによって、世界との差がますます広がっていくばかりだと危機感を感じていたのです。

非上場株式を取引できるセカンダリーマーケットの存在を、日本のスタートアップエコシステムの当たり前にすること。

これこそが、間違いなく日本経済の復活につながる事業だろう。

そしてなにより、自分自身が利用者として絶対にほしいと心底思えるサービスだと、強く感じました。

一方で、非上場株式のセカンダリー取引には乗り越えないといけない高い壁が保管委託要件以外にもたくさんあります。

たとえば、新株予約権発行要項には行使条件として「上場していること」が明記されているのが一般的だったり、そもそも株を売買するプラットフォームを運営しようとすると「第一種金融商品取引業」という重たいライセンスの取得が必須だったりします(と、一つひとつのプロセスをご説明しても、とても難解ですよね。私もそう思います笑)

ただ、こうした大きな壁があっても、不思議と諦める選択肢は生まれず、「どうすれば乗り越えられるか」を、みんなで真剣に議論する日々が続きました。

それは、非上場株式のセカンダリー取引を可能にするサービスがスタートアップにとって、ひいては日本にとって、絶対に必要な存在だと、チーム全員が同じ思いを共有できていたからだと思います。

「困難だ、だが必要だ」

現在は、Nstockのバリューにもなった映画『インターステラー』に登場するセリフにも後押しされ、非上場株式のセカンダリー取引を金融事業の最初のプロダクトとして取り組むとチーム一同、心を決めたのです。

未経験でも「本気なら」どうにかなる

こうして非上場株式を売買できるセカンダリーマーケットを作ることとなり、第一種金融商品取引業のライセンス取得を目指すことになりました。

ライセンス取得には、大まかに「事業計画を詰めること」と「組織体制を構築すること」が求められます。

そのなかで私は主に、下記3つに注力してきました。

  • 事業スキームや業務フローを構築すること
  • 社内規定などを整備すること
  • 発行体審査方法や取引価格の審査方法など各種論点を整理すること

Nstockには、証券業務の経験者が長らく不在だったので、金融商品取引法や各種規則をひたすら読んだり、知見が豊富なパートナー企業の方や弁護士の先生にキホンの「キ」から丁寧に教えてもらったりしながら、一歩ずつ進めていきました。

未経験の私でも、これまでどうにかやれてきたのは、0→1の新規事業だったからという部分がおおいにあると思っています。

日本には存在しない(できなかった)マーケットのため、まだ正解が確立されてないのです。そのため、既存のルールに縛られ過ぎず、1からアイデアを出すことが可能でした。

とはいえ、金融事業なので、なんでもかんでも自由にできるわけではありません。絶対に守るべき線引きをしっかり意識して、日々取り組んでいます。

直近、証券業務に高い知見を持つ内部管理系の経験が豊富なプロフェッショナルの方など、心強い仲間も加わり、今はより力強くサービス開始に向けて走り続けている毎日です。

We are Hiring!

ここまでNstockのセカンダリー事業が進み始めるまでの軌跡を、私の思いとともにツラツラ書いてきましたが、いかがでしたでしょうか?

「0→1で金融事業を作るのっておもしろそうだな」
「未経験でもなんとかなるかも」

もし少しでも、こんな気持ちが芽生えた方は、ぜひ一度、カジュアル面談をしませんか? 多様なバックグラウンドを持ったメンバーが切磋琢磨するすばらしい環境で、夢の実現に向け手を取り合える仲間を待っています。

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