「1兆円スタートアップに必要なインフラをつくる」 Nstockがミッションを変えた理由と覚悟

2026年の初頭、Nstockは今まで掲げていたミッションを刷新し、新たに会社が向かうべき方向を指し示す新たなミッションを策定しました。

今回は、代表取締役社長の宮田 昇始(以下、miyata)、PR / デザイナーの上谷 真之(以下、uetani)に新ミッションを策定した経緯や込められた想いについて話を聞きました。

※同じテーマについて語ったラジオも本日公開しております。ぜひこちらもご視聴ください

Nstockにおけるミッションの位置づけ

uetani:本題に入る前に、そもそも宮田さんが「ミッション」というものをどう捉えているのか、過去に創業したSmartHR時代のエピソードも交えて聞かせてもらえますか?

miyata:自分の中でミッションの意義を決定づけた、SmartHR時代の原体験が2つあります。

実は「採用に困って」ミッション・ビジョン・バリュー(以下、MVV)を作ったことがあるんです。当時、僕と共同創業者の2人しかフルコミットのメンバーがいない状況で、エンジニアの採用に苦戦していました。そのときに、先輩起業家や人事の知人に相談したら、みんな口を揃えて「ミッションやバリューがない会社に人は来ないよ」と言うんですよね。

uetani:なるほど。

miyata:当時は正直「綺麗事だよな」と半信半疑だったんですが(笑)、実際にMVVを作ってコーポレートサイトに掲げてみたら、不思議なことに応募が来るようになったんです。「バリューに共感しました」と言ってくれる採用候補者の方が増えて、10名ほど入社した社員のうちの半数が「MVVが入社の決め手になった」と言ってくれました。これが「ミッションって本当に効果があるんだ」と感じた原体験の1つ目です。

uetani:そこまで分かりやすく効果が出るのはすごいですね。

miyata:原体験の2つ目は「ビジョンとミッションの違いがわかりにくい」という課題に対して、解決に向けて試行錯誤した経験です。

MVVを作って3年くらい経った頃、社内でもミッションとビジョンの役割が混同し始めました。そこで、思い切ってビジョンを廃止し、ミッションとバリューだけに絞りました。

そのとき、併せて意識したのが「ミッションの耐用年数を決める」ことです。

uetani:ミッションを固定せずに、一定期間で変更するのですか?

miyata:そうです。会社のフェーズやマクロ環境が変われば、適切な言葉も変わります。また、ミッションに「やりたいこと」を詰め込みすぎると、最終的に「世界平和」のような抽象的な表現になりすぎて、何をする会社なのかが曖昧になってしまうと考えました。「この後の3年間で最大限の効果を発揮するワーディングにする」と割り切ることで、逆にシャープな言葉選びができるようになりました。

「Google級」から「1兆円スタートアップ」へ

uetani:その原体験を踏まえて、今回Nstockの新ミッションが決まりましたね。改めて発表をお願いします。

miyata:Nstockの新しいミッションは、これです。

「1兆円スタートアップに必要なインフラをつくる」

uetani:かなりシンプルになりましたね。これまでのミッションは「スタートアップエコシステムをブーストし、日本からGoogle級の会社を生み出す」でした。

miyata:以前のミッションを作ったのは約3年前になります。当時はまだ具体的な事業内容が固まりきっていませんでした。祖業である「株式報酬SaaS」は動き出していましたが、セカンダリー事業(準備中)やスタートアップへの再投資事業(準備中)などは、アイデアすら出ていない状況でした。なので、どんな方向性に進んでも矛盾が生じないよう「エコシステムをブーストする」という抽象度が高い表現を用いていました。

加えて、エンジニアの採用候補者の方々に響くよう、エンジニアの皆さんからリスペクトを集める最大公約数的な会社としてGoogle社の名前をお借りして、視座の高さを伝えることを優先したんです。

uetani:当時、僕もそのスケール感にワクワクしたのを覚えています。今回、それを変えようと思ったきっかけは何だったんですか?

miyata:一番の理由は、事業の解像度が上がったことです。登壇などで自己紹介をする際、以前のミッションだと「Google級というのは日本発デカコーンのことで……」「ブーストする手段としてこういう事業を……」と、補足説明が必要でした。

当時と比べると現在はやるべき事業が明確になり、「まずは1兆円規模になるスタートアップの創出」「その成長を支えるインフラ群を作る」と、未来に対する解像度も高まってきました。それなら、Nstockの現状に合わせてバチッとはまる言葉に変えるべきだと考えました。

uetani:僕自身も課題を感じていましたね。例えば採用候補者の方とお話しする中で、ミッションと足元の事業群の接続を説明するのに苦労していました。そのタイミングでちょうど宮田さんに「今のミッションと事業の間をつなぐ言葉が必要じゃないか」と相談していました。

miyata:そうそう。ファミレスで緊急会議をしましたね(笑)。

今回、メインのミッションに添える説明文(ボディコピー)も追加しました。

日本から“1兆円を超える“スタートアップが次々と生まれていく—— 

その未来には、スタートアップエコシステムを進化させる新しいインフラが必要です。

未来のデカコーン企業や、そこで働く人たちが「これまでなかったことが信じられない」と唸るような未来の “当たり前” を、私たちは次々と生み出します。

ミッションの一文のみだと、どうしても解釈にブレが生じます。無用な議論を生まないよう、ある程度解釈の枠組みを示すためにこの文章を添えました。例えば「未来のデカコーン企業や、そこで働く人たち」という一文。「1兆円スタートアップ」には、企業だけでなく「そこで働く人たち」も含まれるんだよ、という点も明示したかったんです。

1兆円企業とは、社会のインフラである

uetani:今回、「デカコーン」や「1兆円」という具体性のある言葉や数字が入ったのが、新鮮で特徴的な部分ですよね。今年の1月に開催した、創業4周年のクローズドイベントで配ったノベルティにも「兆」という文字を入れたり、早速Slackのスタンプでも「兆」が使われています。宮田さんの中で「1兆円」という言葉にはどんな想いが込められているんですか?

miyata:いくつかの見方がありますが「1兆円規模の企業が社会に与えるインパクト」を特に重視しています。

以前、時価総額1兆円規模の企業と、1,000億円規模の企業の違いを調べたことがあるんです。1兆円以上の規模だと「全国レベルのインフラ」「生活になくてはならない」というサービスを提供しているケースが多く、1,000億円規模だと、どれだけ素晴らしいサービスでも「年に1-2回利用するかどうか」だったり「特定地域のインフラ」だったりすることが多いです。

uetani:なるほど。具体的な例ってありますか?

miyata:例えば、交通でいうとANAさん、JALさん、JR西日本さんのような全国規模のインフラ的な企業さんは1兆円を超えています。一方、神奈川中央交通さんや富士急行さんなど、その地域の人たちにとってはなくてはならない企業だけど、カバーする地域が限定的な場合は500億〜1300億くらいです。(2026年3月現在)

外食チェーンでもマクドナルドさん(日本マクドナルドホールディングス株式会社)や、スシローさん(株式会社FOOD & LIFE COMPANIES)は子供連れや日常の食事として生活に溶け込んでいて、時価総額も1兆円を超えています。

スタートアップの人たちがイメージしやすい会社だと、ヤフーさんと合併前のLINEさんがちょうど1兆円くらいだった記憶があります。

この「社会になくてはならないインフラ」のレベル感が、1兆円という数字の持つ意味だと思っています。

uetani:なるほど。「インフラをつくる」というミッションにある言葉とも繋がりますね。

miyata:そうです。1兆円企業の成長に必ず必要な、新しいインフラを僕たちがつくる。そんな想いを新しいミッションに込めました。

変えるもの、変わらないもの

uetani:社内のAll hands(四半期に一度、全員がオフラインで集まる場)で、この新ミッションを発表した後に集計したアンケートの反応もすごく良かったですよね。「一方的なプレゼン形式ではなく、対談形式で背景から聞けたので腹落ちできた」という声もありました。

miyata:ミッションが変わるというのは、メンバーにとっても大きな出来事ですからね。背景や課題感から共有できてよかったです。実際、社内会議でも「それはインフラと言えるのか?」「1兆円規模の視座か?」といった会話が自然と生まれるようになってきました。

uetani:最後に改めて。宮田さんはミッションを「3年の耐用年数で変更していくもの」と位置づけていますが、その一方で「変わらないもの」はどのようなものですか?

miyata:そうですね。今回改めて新ミッションを考えてみて、Nstockの根底には「スタートアップが大好きだ」「スタートアップをより良くしたい」という変わらない想いがあると感じました。

ただ、それをそのままミッションにしてしまうと、「1兆円を目指せるスタートアップではなく、うまくいっていないスタートアップこそ支援すべきだ」「スタートアップの素晴らしさを伝える啓蒙活動を、地方に足繁く通って行うべきだ」という方向性もあり得てしまう。もちろんそれも大事なことではあると思うのですが、Nstock事業の優先順位としては低い。だから、対外的なミッションは事業の方向性を示すシャープな言葉にしつつ、内側にある「変わらない信念」や「バリュー」のようなものは、また別の形で言語化していきたいですね。

uetani:言葉を大切にするNstockらしい考え方ですね。新ミッションを掲げたこれからのNstockに、ぜひ注目してもらいたいです。

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