すでに発表させていただいた通り、Nstockは2024年9月9日に総額約30億円の資金調達を行いました。調達させていただいた資金を活用し、Nstockの第2の事業である非上場株式のセカンダリー事業を展開していく予定です。
本記事では、Nstockのセカンダリー事業でBiz-devを担当している沼田とオペレーションを担当している伊庭が、今までの振り返りと、これからの事業の展望について語ります。
▼ わたしたちが目指すセカンダリー
なんでセカンダリーなの?
伊庭:Taroさん、今日はセカンダリー事業について話してほしいということで時間をもらいました。正直どこから話せばいいかさっぱりわかりませんが、わたしたちが目指す世界の話をしたほうがいいかな?と思っています。
セカンダリーって一体なにで、Nstockが目指す世界ってどんなものなんでしょう?
できるだけ簡単に話してもらえると助かります!

沼田:そうですね・・・、わたしたちが言っているセカンダリー事業では、非上場時点で株式を売買するマーケットを作ろうとしています。ここで扱われる株式はスタートアップに限定していて、SOを行使して得た株式も対象です。
現在、日本に非上場株式を取り扱うマーケットがあるかというと、かなり限定的です。実際、Mikaさんも目にしたことはないと思います。わたしもこの領域について詳しくリサーチする前は、さっぱり知らなかったんですよ。
25年春に金融商品取引法改正がなされて、今後法律が施行されます。それにより、非上場株式のセカンダリーを仲介するビジネスが可能になります。
わたしたちは、そういった流れを組んで、このビジネスをやろうと決意しました。
伊庭:なんで非上場株式を取り扱うマーケットが必要なんですかね?
沼田:大小さまざまな理由はありますが、SOや非上場株式の流動性が乏しいことにより生じている諸問題を解決したいためです。
- 1つ目の問題点:“望まぬ小粒上場”に繋がるおそれがある
- 2つ目の問題点:SOがインセンティブとして機能していない
まず1点目です。日本のIPOは小粒上場などと揶揄されることがあります。
確かに、日本は数字的にIPO時の時価総額は平均して100億円程度と言われており、アメリカと結構差があるんですね。このIPO価格の低さと非上場株式のセカンダリーは関係があるのではないかと思います。
伊庭:SOの行使期間なども関係がありますよね。創業から上場までの平均必要期間はもう10年を超えていて、伸びている傾向にあります。アメリカも同様ですね。
初期メンバーといった立ち上げ当初の苦労をともにした社員。彼らのSOの権利行使期限が到来している!となると、IPOを考慮に入れるのは、正直気持ちがわかります。
沼田:そうですね。
上場前に、もっと企業を成長させたいと願う経営者も多いと思います。
そんな時に、初期メンバーのSOが頭にちらつくのは、ストレスかもしれないですね。
日々考えていないにしても、潜在的に経営の意思決定に影響しているかもしれません。
セカンダリーがあれば、SOが無駄にならずに済みます。
もちろんなのですが、セカンダリーは「銀の弾丸」ではありません。これにより、小粒上場と言われるIPO市場が全て解決するわけではないでしょう。
ですが、選択肢が増えることはいいことだと思います。

伊庭:2点目のセカンダリーがあるとインセンティブとしてSOがしっかり働くようになる!というのは、わかりやすいですよね。
価格がついていれば、価値は伝わりやすくなります。
SOは採用や組織のリテンションに対して、大きな効果があります。スタートアップ側が、せっかく苦労して設計・発行したのに、全然価値が伝わっていないというのは残念です。
経営者が「かなり説明した!」と思っていても、従業員側は「説明されていないな。」と思うことがある。ここには、今の状態では埋まらない差分がある気がします。
従業員の立場からすると、セカンダリーに前向きなスタートアップのほうが入社先として魅力的に感じるかもしれません。IPOまで待つことができる人もいるかとは思いますが、家族を持ったり、家を持ったり、移住したり、どこでお金が必要なタイミングが来るかはわかりません。その時に、「待つ」以外の選択肢ができるのはありがたいですね。
そういった意味でも、SOとセカンダリーが掛け合わされることにより、よりインセンティブとして感じやすくなると思います。
沼田:そうですね。
あとそもそもなのですが、自由な選択肢を持つということは正義だ、と個人的には思っています。
スタートアップにとって、セカンダリーは万能薬ではありません。もちろん、デメリットもあります。たとえば、辞めてほしくない従業員がSOを売却して退職してしまうかもしれない。
ですが、今のスタートアップエコシステムは、このメリデメを比較して、セカンダリーを利用するという選択肢自体がない状態です。Nstockでは選択肢を作り、スタートアップや従業員のみなさんに悩んでほしいと思っています。
選択肢を絶たれているより、よっぽどマシだと思いますから。
ちなみに、我々はデメリット部分はしっかりコントロールできると考えています。ですので、もし悩みが生じた場合はぜひNstockに相談してみてもらいたいです。
Nstockが作っているセカンダリーマーケットって?
沼田:Nstockが作っているセカンダリーってどんなプロダクトなのでしょう?
伊庭:いわゆる東京証券取引所のような自由なマーケットではなく、売り手も買い手も限定的にしようと思っています。
あまり小難しい話をしたくないのですが、いろんな人がマーケットに存在してスタートアップの株式を購入していく・・・というのはまだ想像できていません。
遠い村のお金持ちが、スタートアップの株式を購入したら、ちょっと怖くありません?

沼田:わたしが会社の経営者なら、何が起こるんだろうとちょっと心配ではありますね・・・。
やっぱり非上場の時点では、自分が認識している方々に株主になってもらいたいかもしれません。
あとたくさんの株主に囲まれたらどうなるんだろう!?とも思いました。
1万人とかになっちゃったら、株主総会どうするんだろう。というか無理な気がしてきました。
伊庭:ですよね。
なのでNstockが提供するセカンダリーマーケットでは、スタートアップの意向にそって、マーケット参加者は決まっていきます。
弊社では「社内取引所」と呼称していますね。
完全にオープンなマーケットというより、「セミオープン」なマーケットになります。
沼田:スタートアップの株式って譲渡制限がついているじゃないですか。
スタートアップの株式を譲渡しようとすると、毎回会社の承認が必要になります。オープンなマーケットで年がら年中、承認申請が飛んできたら大変ですね。株主総会以下の機関決定が必要になるので、さすがに事務が回らないかも・・・。
伊庭:そうですね。なので社内取引所くらいがちょうどいいのではないかと思います。
取引期間や参加者など、スタートアップが気になる点に関しては一定のコントロールがきく形で、マーケットを開ければいいですよね。
沼田:そうであれば、気づいたら知らない人が株主になってた!みたいなことは回避できますね。
正直、このプロダクトがあったら自分が一番使いたいです。自分が使いたいものを作っている感覚ですね。
伊庭:わかります!Nstockの人たちは残念ながらSOを放棄して今に辿り着いている人もいるため、まさに「自分自身がいちばんのユーザーだ!」と、熱い気持ちをもって仕事している人が多そうです(笑)。
多様な人たちと一緒にプロダクトを作っている
伊庭:実際、プロダクトを作っていると、この領域だからこそ感じる難しさがありますよね。
どんなことがありますか?

沼田:そうですね。わたしたちがやろうとしている領域は、Fintech。金融商品取引法などに抵触していないか確認しながらプロダクトを作ることになります。
なので、そもそもMVP(必要最低限の機能を備えたプロダクト)を作るのがとても難しいんですよ!
世に出る時はある程度の完成度になっていないといけない。PdMが頭を抱えています。
それに、規制を気にしながらプロダクトを作るというのは、言葉以上の大変さがあります。
表示画面の順番、文言、文字の大きさなど、気にすることがたくさんあります。その度に手を止めて「一応確認する」という作業をするだけで、ストレスなはずです。
チームをまたいでのコミュニケーションも増えるので、時間もとてもかかります。
それに規制対応するための組織体制を作る、というのも大変な作業です。セカンダリーを行うためのオペレーション体制を構築するにしても、漏れが発生してはいけない。そういったオペレーション構築経験がある金融業界出身者を採用する必要があります。またコンプライアンス体制などもずいぶん早くから構築していく必要があります。
そういった背景から、多様なところで活躍してる人たちを集めないと成り立たない、という難しさがありますね。
伊庭:現在ではセカンダリー事業は11名います。
ビジネス職が3名、オペレーション職が3名、PdMが1名、エンジニアが4名という内訳です。横断チームに所属していますが、実質セカンダリー事業で働いているデザイナーが追加で2名いますね。
創業して間もないですが、すでにコンプライアンス体制の構築などに手を出しているのは、かなり早い印象です。
業規制を遵守しながら企業運営していく体制を構築するのは、想像以上に難しいです。
沼田:そうですね。Nstockのバリューに「困難だ、だが必要だ」というのがあります。これに助けられていますね。
▼ 米国でおこっているセカンダリー
沼田:米国ではすでに非上場株式のセカンダリーマーケットが存在します。
そのきっかけは、Facebookです。
Facebookに初期に参加していた投資家はセカンダリーマーケットを提供するプロダクトを利用し、株式を売却しました。
取引量は、当時上場していたGoogleやAppleの年間取引量を大きく超えていたそうです。上場していた企業の取引量を超えていたのは驚きです。
このインパクトのある出来事が、「非上場株式のセカンダリー」が認識されたきっかけです。
それ以降、グローバルでの非上場株式のセカンダリー取引量は増加しています。

足元でも、SpaceX・Stripe・Figmaといったみんなが知っているスタートアップがセカンダリーを実施しています。役職員向けにセカンダリーを行っている会社が多いですね。
SOや株式を保有している役職員向けに、セカンダリーを通じて、現金にする機会を提供しているわけです。
これらの企業は非上場ではありますが、引き続き急激に成長をし続けています。ですが、創業からIPOまでの期間は長期化しました。従業員たちのこれまでの貢献にむくいるために、セカンダリーの機会を設けたわけです。
伊庭:素朴な質問なのですが、アメリカでは従業員はセカンダリーを通して株式を現金化することができたら退職したりしないのですか?日本では上場後に従業員がやめた、とかそういう話を聞いたりするのですが。
沼田:わたしも気になって色々と聞いてみました。
アメリカでは考え方がそもそも違うようですね。アメリカでは「人は入れ替わって当然」。
その中でどうやってリテンションしていくか?というのが重要なようです。競争が非常に激しいアメリカでは、そもそもセカンダリー等も通じて魅力づけしないと採用に負けてしまう。
非常に前向きにかつ戦略的に利用しているように感じました。
セカンダリー条件だけでなく、SOやRSUといった株式報酬を常に他社と比較して見劣りしないようにウォッチしている、そんな印象です。
▼ 私たちが作っているのはプロダクトか?
沼田:わたしたちが作っているのは、プロダクトでしょうか?
わたしたちが作っているのは、もちろんプロダクトです。
ですが、もう少し概念的なものを作っている気がします。
言うなれば作っているのは、「世界観」だと思っています。
伊庭:・・・一体どういうことでしょう?

沼田:今までのスタートアップの世界では、SOは宝くじのように扱われていました。
SOが非上場の時点で行使され、株に転換されることもありませんでした。
また非上場の時点で株式を売却する機会も多くはありませんでした。
これを逆にしないといけません。
SOが非上場の時点で行使されることを許容し、売却されることを許容しなくてはいけません。これは日本スタートアップの世界では大きな変化だと思います。この変化を許容しなくてはなりません。
非上場時点でSO行使することに、否定的な意見があるのも理解しています。
まだIPOもしていないのに、資金を手に入れることに否定的な意見があるのも理解しています。
そういったものも理解した上で、選択肢を作ろうとしています。
- 従業員がもらったSOを現金化できる世界
- 従業員が自分が働いている会社の株式を買える世界
- SOを宝くじにしない世界
こういう選択肢を増やしていき、よりスタートアップがスタートアップらしく成長できる環境作りに貢献していきたいと思っています。またスタートアップを一過性のブームで終わらせることなく、絶え間なく続くエコスシテムとして成長していくために、プロダクトを作りたいと思っています。
Nstockのミッションは、「スタートアップエコシステムをブーストし、日本からGoogle級の会社を生み出す」です。
これに対して、愚直にできたらなと思っています。

お知らせ
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