マネージャーではなく、リーダーが欲しかった
── まず、CTOが必要になった背景を教えてください
miyata:シンプルに表現すると、エンジニア組織のリーダーが欲しかったからです。マネージャーではなく、リーダーです。今年に入ってから、チームが迷った時に方向性を示したり、開発やアサインに関する相談をする役割が必要だと感じることが増えていました。そこから自然にCTOを据えることを決めました。
── なぜリーダーが必要になったのでしょうか?
miyata:Nstockは全体で50名強の規模です。ダンバー数(人が安定した社会的関係を維持できる人数の認知的な上限)で見ると、組織化や仕組み化がなくても統制が取れるギリギリの規模になります。2025年11月の時点でNstockのエンジニアは18名いて、全職種中の最大規模であることも鑑みると、リーダーという役割が必要という考えに至りました。
tanakiyo:確かに今まではマネージャーがいなくても、個々にセルフマネジメントをしたり、委員会制度などでうまく回っていましたね。今後、複数の事業が並行して立ち上がっていく過程で、コミュニケーションパスがメッシュ状になり、動きづらくなる時期が来るだろうという感覚はありました。

miyata:現段階でリリースされているのは株式報酬SaaS事業だけですが、開業準備中のセカンダリー事業や、他にも検証段階のものも含めると、近いうちに5事業ほどに増える可能性があります。特に株式報酬SaaS事業とセカンダリー事業は技術的に重なる部分もあり、事業全体に関わる変数も増え続けるので、人材配置や優先順位などの判断を、スピーディーかつ俯瞰的におこなえる役割は必要だなと。
自然発生的なリーダー
── tanakiyoさんを選んだ背景を教えて下さい
miyata:好きな概念があって「自然発生的なリーダー」っていうのがあるんです。誰かに任命されたリーダーではなくて、自然とリーダーシップを取っていたり、頼られてる状態の人を指します。すでにtanakiyoさんは、エンジニアチームの中でそんな存在になってました。
自分の過去の経験としても、やはり自然発生的にリーダーシップを取れる人たちを抜擢しているケースが多くて、成功確率も高かったです。もともとリーダーシップを取れている人をリーダーとして任命するだけなので、ハレーションも起こりづらいですし、よりチームのモメンタムも出やすいと思っています。

tanakiyoさんの印象的なエピソードがひとつあります。とあるミーティングで議論が紛糾して結論が出なかった時に、最後にチームが沈黙してしまう瞬間がありました。そこでずっと黙っていたtanakiyoさんが一言ポンッと発言した途端に、全員が「それだ!」となり一気に解決に向かったのは印象的でした。
tanakiyo:そんなこともありましたね(笑)
CTO就任の背景
──tanakiyoさんは、入社当初はマネジメントに消極的だったと聞きましたが?
tanakiyo:入社当初は明確に「マネジメントはやりたくない」と言ってましたね(笑)これからの世代に自身の経験を還元したいという思いがあったので、自分が前に出るよりも、立てて支える側でいたいなと思っていたんです。
miyata:「僕ではなくもっと若い人の方がいいと思います」と言いながら、かなり嫌がってましたよ(笑)打診するタイミングは、かなり慎重に伺っていました。
──最終的には、どうやって口説いたのですか?
miyata:実は2025年9月のICCサミット京都の、お酒の席で話しました。ただ、翌日になってしっかりと握手をしたことだけは覚えていて、具体的に何の話したか覚えていなくて(笑)
tanakiyo:僕も握手をしたことだけを覚えていて、話の内容は覚えていませんでした(笑)
miyata:そんなことがあったので、後日あらためて二人で話をしました。
tanakiyo:そうでしたね(笑)ちょうど事業の複雑性が増してきたタイミングでもあったので「今なら自分の経験を活かせるかもしれない」と思い、CTOの打診を承諾しました。

CTOの責務と、エンジニアカルチャー
── 現時点で、NstockのCTOの役割はどう定義していますか?
miyata:マネジメント業務は基本的にやらなくていいと伝えています。現時点では会社全体でマネージャーを置かない判断を継続しているので。今いるメンバーは自発的に動ける人たちですし、横断的な課題があれば委員会制度で解決できています。tanakiyoさんには、皆の旗振り役や、事業のスピードアップに必要なアサインメントとか、そういうことをやってもらいたい。
tanakiyo:ピープルマネジメントとか全体のプロジェクトマネジメントはやらない想定です。適した人が適したやり方でやる、課題ごとに分担しながらやっていきたいなと思っています。
── 就任をきっかけに週4勤務から、週5勤務に変更したそうですね?
tanakiyo:入社当初に週4勤務にしていたのは、プライベートな事情でそれなりに時間を取られる想定があったからです。週5勤務で変動的に休みが多くなるより、最初から週4勤務固定にしておいた方がチームとしてもリズムを取りやすいんじゃないかなって。「そういう人だ」って思ってもらえる方が、みんなも予定を組みやすいだろうと。
miyata:でも有給30日あるし、うまく組み合わせればいいよね、と。
tanakiyo:そうそう。30日あれば融通をきかせながら働けることがわかったので、このタイミングで週5勤務にしました。
── Nstockのエンジニアカルチャーについて教えてください。
tanakiyo:実は、明文化されたカルチャーは特にないんですよね。でもそれは、自然に身についていたり、行動に反映されているからだと思います。大事にしてる価値観が自然に一致している状態です。
miyata:Nstockのエンジニアがすごいなと思うのは、技術やものづくり自体を楽しんでいて、お客さんが喜ぶのが好きだったり、自分が作ったもので顧客課題を解決してるのが好き、という人が多い。めちゃくちゃかっこいいなと思ってます。
tanakiyo:僕も入社した当初から、アウトカムへの意識を強く持っているエンジニアが多いと感じていました。単に技術や機能を作ることだけではなく、それが顧客の価値にどうつながるかを意識できるメンバーばかりだなと思います。
これって、近年の生成AIの盛り上がりでより重要になってきていると思っています。コードを書くこと自体のコストが下がってきた中で、エンジニアの存在価値は何だろうと考える機会が増えました。結局、いいものを作って、お客さんに喜んでもらう。そこにいかに集中できるかが、エンジニアの価値なんじゃないかなと思っています。

miyata:あと、うちのエンジニアの残業時間はかなり少ないんですよ。。さらに有給30日のうち20日以上消化してる人が8割もいる。でも緩く働いてるわけではなくて、限られた時間の中で濃く働いている。日報にも「仕事が楽しい」って書いてる人がいたりして、そのバランスはすごく良いなと思っています。
tanakiyo:日々のやるべきことを、適切に見極められる人が多いんだと思います。やらなくていいことはやらない。お客さんが求めていないものは作らない。それも含めてエンジニアリングだと思ってる人が多い。
バトンタッチを前提としたCTO
tanakiyo:自分がCTOで居続けることで、Nstockの優秀なメンバーの機会を奪うことにもなります。そのため、前向きな意味でCTO就任は限定的であることは強調したいです。しばらくやってみて、ある程度の方針を示すことで組織が動くようになったら、また誰か別の人にバトンタッチできたらいいかなと思っています。
── 将来的にCTOをバトンタッチするとしたら、どんな人が良いですか?
tanakiyo:周りから見て「この人がリーダーだよね」と思える人が出てきたら、その時は自然にバトンタッチすると思います。
miyata:SmartHR時代のCFOサクセッションを思い出します。現CFOの森さんは、入社当初はCFO候補だとはまったく思っていなかったのですが、入社後の仕事っぷりを見ていると「この人はレベルが違うな」と感じるようになっていきました。前CFOの玉木さんも同じ意見で、少しずつ重要な仕事を森さんに任せていったら全部うまくやってくれて、自然とCFO交代へと向かっていった。そういう風に、いま在籍しているメンバーや、これから入社してくる人たちの中からとてつもないポテンシャルを感じる人が出てきた時に、面白い仕事とか成長の機会をうまくパスしていけたら、自然なバトンタッチができるんじゃないかなと思っています。
メタ認知、なんとかする、隙を見せる
── お互いの印象を聞かせてください。
tanakiyo:miyataさんは、自然体なのに結果を出しているのがすごいなと思います。自分の得意なこと、苦手なこと、好きなこと、嫌いなことに対するメタ認知がきれいに整理されている。だから「ここは自分がやるべき」「ここは任せた方がうまくいく」という線引きと全体設計がうまい。任せる時も丸投げではなくて、背景の伝え方がうまいので、受け取った方も迷わず進められるんだと思います。
miyata:tanakiyoさんは「なんとかする能力」が高い人だと思っています。入社して最初の1on1で「強みは何ですか?」と聞いたら「なんとかする能力です」と言っていて「あ、この人は頼れるな」って思いました。僕自身、CxOに対しては自分がマネジメントする感覚でなくて「投資する」感覚なんです。この人になら会社の大事なものを託せるなと思っています。
tanakiyoさんは周囲に隙を見せる能力も高いですよね。リーダーが完璧すぎると周りも萎縮してしまって相談しづらいので、多少ゆるくて隙がある方が頼りやすい。
tanakiyo:あ、miyataさんはめちゃくちゃ体力がありますよね。頑丈(笑)
miyata:体力とメタ認知には自信があります(笑)
変化を楽しめる仲間を求めて
── 最後に、興味を持ってくれた方へメッセージを。
tanakiyo:いろいろなことが並行して動いていて、来年はまたアプローチや組織形態が変わるかもしれません。でも目指してる世界や方向は変わらないと思います。そういう変化を楽しみながら、ワイワイやれる仲間に来てほしいですね。

お知らせ
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